第一三共社について

第一三共社の将来性について

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今回は、
第一三共社の将来性について、
私の独断と偏見にて、ご紹介させて頂きます。

以下の記載は、私の完全なる私見ですので、
過信なさらずに、参考程度にして頂けたらと思います。

 

さて、
第一三共社と言えば
2017年度の国内の売上は、
6,688億円(前年比:+5.7%)であり、
国内第2位の売上を誇る、内資系大手製薬会社です。

現在、国内第2位の製薬会社ということもあり、
抗潰瘍薬市場(ネキシウム)、アルツハイマー治療薬市場(メマリー)、
骨吸収抑制剤(骨粗鬆症)市場(プラリア)、骨病変治療薬市場(ランマーク)、
という4つの市場でNO.1シェアを獲得しています。

特に、抗潰瘍薬やアルツハイマー治療薬という
大きな市場でトップシェアを獲得していのは、
さすがですね。

 

また、第一三共社と言えば、もともと、
抗炎症薬「ロキソニン」や抗生物質「クラビット」、
高脂血症治療薬「メバロチン」が
とても有名な製品ですね。

特に、「メバロチン」は、
日本が世界に誇る、純国産の高脂血症治療薬です。

「メバロチン」は、
現在の第一三共社(旧三共社)の成長ドライバーになった製品の1つです。

第一三共社は、世界に先駆けて、
高脂血症治療薬を開発した製薬会社であり、
実質、スタチン系高脂血症治療薬のパイオニアでもあります。

高脂血症治療薬は主に、
スタチン系とフィブラート系の
2種類に分かれますが、
スタチン系の世界第一号を開発した企業が
第一三共(旧三共)社です。

ただし、
その世界第一号目のスタチンは、「メバロチン」ではなく、
「コンパクチン」(未発売)という化合物です。

「コンパクチン」の
開発者は遠藤章氏という、旧三共の研究者である日本人です。

スタチン系高脂血症治療薬として開発されていた、
世界第一号目の「コンパクチン」は、
残念ながら、肝毒性等により、開発中止となってしまいましたが、

「コンパクチン」の経験を活かし、
第一三共社(旧三共社)から「メバロチン」が開発されました。

スタチンの発見や「コンパクチン」、「メバロチン」(の基盤)を開発したのが、
当時、旧三共の研究者であった、遠藤章氏であり、
スタチンの発見は世紀の発見と言われ、
当時の高脂血症治療薬領域に革命を起こしました。

当時(今から約30年以上前)は、
コレステロール値を下げる有効な高脂血症治療薬は
ほとんどありませんでした。

当時、肝臓でコレステロールが合成され、
アセチルCoA → HMG-CoA →メバロン酸 →コレステロール
という一連のコレステロールの生成の流れは
すでに知られており、
コレステロールの生成を促進させる、HMG-CoA還元酵素の役割も
知られていましたが、
有効なHMG-CoA還元酵素阻害薬は見つかっていないという
状況でした。

そこで、当時、第一三共社(旧三共社)の
研究者であった遠藤章氏は、
コレステロール合成を阻害するHMG-CoA還元酵素を阻害する物質を見つけるべく、
新規研究プロジェクトを立ち上げます。

 

そこで、遠藤章氏が青カビの中から、
HMG-CoA還元酵素を阻害する物質である、

「コンパクチン」(メバスタチン)を発見したのです。
この「コンパクチン」そこが、世界第一号のスタチンです。

 

この「コンパクチン」を元に、
第一三共社は、のちに「コンパクチン」の構造式を少し変えた、
ブロックバスターになる「メバロチン」(プラバスタチン)を開発します。

このスタチンを開発した、
世紀の開発により、
遠藤章氏は、ノーベル賞(医学・生理学賞)候補である、
と何年間も言われ続けています。

そろそろ受賞してもいいんじゃないでしょうか・・・。

当時、スタチンの開発は、世界に革命を起こし、
奇跡の薬と呼ばれていました。

 

この世界の第一人者なのに、
なぜ受賞されないのか・・・。

遠藤章氏のノーベル医学・生理学賞受賞を待ち望んでいる
日本人はかなり多いです。

早く受賞されると良いのですが・・・。

 

さて、話が少しそれたかもしれませんが、
私がお伝えしたかったことは、
高脂血症治療薬の世界の第一人者は、
日本人である遠藤章氏であり、
世界で一番初めに、スタチン系高脂血症治療薬を
開発した製薬企業は、第一三共(旧三共)でもある、
ということが
言いたかったわけです。

 

第一三共社は高脂血症治療薬の
世界的なパイオニアなわけです。

 

では、話を戻します。

第一三共社の将来性について、
現状を振り返りながら、今後(将来性)について、
記載します。

 

現在の第一三共社の製品群を見てますと、
少し前までは、
高血圧治療薬「オルメテック」が一番売上高が高く順調でした。

しかし、
「オルメテック」は、現在すでに後発品が
発売されており、2017年の売上実績は、
前年比-250億円の約450億円です。

今や後発品が発売されるやいなや、
急激に売上が下がる時代となりましたね・・・。

 

また、
最近では、第一三共社は抗がん剤事業に注力しています。

抗がん剤事業については後程記載しますので、
抗がん剤事業以外を見てみましょう。

 

2017年度の売上高順に見てみます。

【2017年度 第一三共 製品別売上高(国内)】(増減額マイナス製品除く)

抗潰瘍薬:ネキシウム (2017年:865億円 増減額:+26)

抗アルツハイマー治療薬:メマリー(2017年:486億円 増減額:+17)

抗凝固薬:リクシアナ(2017年:453億円 増減額:+203)

DPP4阻害薬:テネリア(2017年:263億円 増減額:+21)

骨粗鬆症治療薬:プラリア(2017年:232億円 増減額:+52)

抗RANKL抗体:ランマーク(2017年:154億円 増減額:+15)

抗血小板薬:エフィエント(2017年:128億円 増減額:+24)

 

という売上高です。

順に製品を見てみましょう。

2017年度の段階で、第一三共社で一番売れている製品は、
抗潰瘍薬である、「ネキシウム」です。

「ネキシウム」は、元々アストラゼネカ社が開発した製品であり、
AZ社と一緒に販売していますね。

これまで順調に売上をの伸ばしてきた「ネキシウム」ですが、
2015年に武田薬品社から発売された抗潰瘍薬である「タケキャブ」により、
伸びが鈍化しています。

抗潰瘍薬や消化器市場は、元々、武田薬品さんも強い領域だったこともあり、
「タケキャブ」は発売後から順調に売上を伸ばし、
2017年の「タケキャブ」の売上高は、発売からわずか
2年ほどで、なんと551億円(前年比+61.6%)の売上を記録しています。

凄まじい勢いですね・・・。

「タケキャブ」は、従来型のPPIではなく、
P-CABと呼ばれる抗潰瘍薬です。

P-CABとPPIの特徴の違いを下記に記します。

 

【P-CABとPPIの違い】

P-CAB PPI
酸による活性化の必要性 (即効性の有無に関与) 不要 必要
CYP2C19の影響 (個体差に関与) 有り
酸性下による安定性 (持続時間に関与) 安定 不安定

P-CABは、

カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker:P-CAB)の略です。

 

PPIは、プロトンポンプインヒビターのことですね。

 

「タケキャブ」のメリットは、
「ネキシウム」と比べて、即効性があり、
幅広い患者さんに効く可能性があり、
なおかつ、強力な効果があるのが特徴です。

もちろん、メリットだけでなく、効果の強い分、強い副作用が出やすい傾向があります。

一方、「ネキシウム」は、
同じAZ社の「オメプラゾール」を改良して作られた製品です。

「ネキシウム」は、
ラセミ体であるオメプラゾールの光学異性体であるS体であるため、
そのため、有効成分そのものは、
「ネキシウム」と「オメプラゾール」はほとんど同じです。

しかし、「オメプラゾール」をより効きやすく改良した薬剤であり、
個体間差が少ない薬剤でもあります。

現在、この2剤が熾烈なシェア争いをしていますが、
「ネキシウム」は2017年度の段階で、865億円の売上があり、
前年比も3.0%と微増という状況であり、ほぼ浸透しつくした感があります。

とても良い薬剤なんですけどね・・・。

今後は「ネキシウム」を核にさらに売上を伸ばす、といった状況は難しいでしょう。
現在は、抗潰瘍薬市場でNO.1の売上を誇っていますが、

凄まじい勢いで伸びている「タケキャブ」をどれだけ抑えらえるかが、
キーとなりそうです。

 

さて、次に売上が多い製品は、
アルツハイマー治療薬である、

「メマリー」ですね。

現在、「メマリー」はアルツハイマー治療薬市場の中でトップシェアを
誇っています。

 

といっても
アルツハイマー治療薬は国内で、4製品しかなく、
エーザイさんの「アリセプト」はすでに後発品が発売されていますから、

実質、3製品の中でのトップシェアということになります。

アルツハイマー治療薬の製品別売上高(2016年度)を記載します。

  • メマリー  469億円(第一三共)
  • アリセプト  295億円(エーザイ)
  • レミニール  245億円(ヤンセン/武田薬品)
  • イクセロン/リバスタッチ 165億円(ノバルティス/小野薬品)

上記4つの薬剤は、
アルツハイマー治療薬ですが、
アルツハイマーを根本的に改善する薬剤ではなく、
アルツハイマーの進行を抑制する薬剤です。

また、「メマリー」だけ作用機序が異なり、AchE阻害薬ではなく、
NMDA拮抗薬です。

ただし、作用機序が異なるからといって、
他剤より有意に強い効果が期待できるわけではなく、
やはり進行を遅らせるにほとんど限定した効果です。

アルツハイマー治療薬市場は、アルツハイマーの患者さんの数そのものは
世界的にも、急速に増えてはいるものの、有効な治療薬が上市されていない、
稀な領域です。

アルツハイマー治療薬市場は、年々縮小傾向であり、
わずか4剤しかなく、約20年新薬が出ていない市場です。

有効なアルツハイマー治療薬を開発すべく、
各製薬会社が注力して、新規化合物を研究開発していますが、
軒並み失敗に終わっています。

 

少し前にもありましたね、アルツハイマー治療薬の開発中止のニュースが・・・。

まさにアンメットニーズであるアルツハイマー治療薬市場に
新薬が発売れるのことを大いに期待しています。

「メマリー」もそろそろピークアウトです・・・。

 

そして、3番目に売れている製品が、
抗凝固薬である「リクシアナ」です。

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「リクシアナ」は、順調に売り上げを上げていますね。
2018年3月の時点でDOAC市場のシェア41.6%であり、
もう少しでトップシェアを狙える位置です。

DOAC(直接経口抗凝固薬)市場は、
世界的にも市場が伸びている領域であり、
注目されている市場の1つです。

DOACは、「リクシアナ」以外に、

・バイエル社のリバローキサバン(イグザレルト)
・ファイザー社/BMS社のエリキュース(アピキサバン)
・ベーリンガー社のダビガトラン(プラザキサ)

と3剤ありますが、
適応症(3つ)や安全性(出血比較的少ない)、
使いやすさ(1日1回)という観点では、
他剤と比べ、「リクシアナ」がやや有利な状況です。

今後のエビデンス次第ですけどね・・・。

「リクシアナ」はまだまだ伸びるでしょうね。

DOAC市場は比較的新しい市場であり、
薬剤のエビデンスも揃いつつある領域であり、
4剤の中唯一3つの適応を取得している「リクシアナ」は
今後、価値を最大化できる薬剤ですね。

さて、次は「テネリア」です。
糖尿病治療薬「テネリア」はDPP4阻害薬ですね。
それなりに伸びてはいますが、
競合が多すぎて厳しい現状です。

糖尿病領域は市場も大きいのですが、
上市されている製品も多く、
現在、糖尿病領域ではブロックバスター(1,000億円以上)がなんと
12品目もあります。

つい先日、2018年5月22日、
SGLT2阻害薬「スーグラ」(アステラス/MSD)と
DPP4阻害薬「ジャヌビア」(MSD)の
合剤である「ス―ジャヌ」(アステラス/MSD)が発売されましたね。

SGLT2とDPP4阻害薬の合剤は、
「カナリア」(第一三共/田辺三菱 2017年9月7日発売)に次ぐ2剤目ですね。

「テネリア」は用量調整がしやすい点と腎機能への影響が少ない点が評価され、
少しずつ売上を伸ばしていますが、
競合品が多すぎて、大幅な売上増が期待しくにい製品です。

合剤「カナリア」との兼ね合いもありますので、
今後、「カナリア」にシフトしていくのかもしれません。

 

最後に、「プラリア」と「ランマーク」について
ご紹介します。

「プラリア」と「ランマーク」は、実は同じ薬剤であり、
一般名はどちらも、「デノスマブ」、です。

「プラリア」と「ランマーク」は
適応症と用法用量が異なるため、
製品名が異なりますが、作用機序は同じ、抗RANKL抗体です。

「ランマーク」は癌による骨病変改善に使用され、
「プラリア」は骨粗鬆症治療薬です。

下記に違いを示します。

プラリア ランマーク
適応症 骨粗鬆症 がん細胞の骨転移による骨病変
用法用量 60mgを6ヵ月に1回、皮下注 120mgを4週間に1回、皮下注
一般名                デノスマブ
作用機序         RANKリガンド(=RANKL)の阻害

 

そして、最後に、
抗血小板薬「エフィエント」ですが、
国内の売上は順調ですが、海外では、臨床試験で良い結果が出ず、
かなり苦戦しています・・・。

どの新薬もそうですが、
新薬は最初のエビデンス(臨床試験)が、かなり重要であり、
最初の臨床試験で失敗すると、
リカバーすることが難しかったりするケースが多いです・・・。

とうことで、「エフィエント」は期待されながら、
海外では大苦戦を強いられています。

今後のエビデンス次第変わる可能性もありますので、
今後次第ですね。

 

以上、第一三共社の現状と今後の展開を
私の独断と偏見で記載してみました。

簡単にまとめますと、

  • 抗潰瘍薬「ネキシウム」(1番の主力)は、現時点で、ほぼピークアウト。
  • アルツハイマー治療薬「メマリー」(2番目の主力)も、現時点で、ほぼピークアウト。
  • 抗凝固薬「リクシアナ」はまだまだ、国内、海外ともに伸びる可能性あり。(エビデンス次第ではありますが・・・)
  • 糖尿病治療薬「テネリア」は今後、合剤「カナリア」に注力、シフトか。
  • 抗RANKL抗体「プラリア」「ランマーク」は、欠かせない薬剤になりつつあるので、今後も少しづつ売上増加する可能性あり。(海外でも)
  • 抗血小板薬「エフィエント」は国内では順調だが、海外ではエビデンス次第。

という状況です。

 

したがって、国内市場は、
抗凝固薬の「リクシアナ」と抗RANKLの「デノスマブ(一般名))、
抗血小板薬「エフィエント」をどこまで伸ばせるか、
によりそうです。

ただし、
上記は抗がん剤事業を除いた製品群の記載ですので、
これから抗がん剤事業について記載します。

第一三共社は、
もともと抗がん剤に強い製薬会社では決してありません。

しかし、
積極的な企業買収や抗がん剤のパイプライン導入をした経緯もあり、
今後は、がん事業を柱とする目標を掲げています。

もちろん自社開発でも、抗がん剤の研究開発を積極的に進めています。

具体的には、
2018年度は、研究・開発のリソースを50%以上、がん事業に割り当てると
発表しています。

実際、現時点での、
第一三共社の開発パイプラインを見ても、
約半数近くが、オンコロジー製品です。

第一三共社の抗がん剤事業に賭ける思いがひしひしと伝わってきます。

そして、
第一三共社は、2025年までに現在開発の抗がん剤8製品を
上市すると発表しています。

7年間で、8つの抗がん剤製品の上市予定はすごいですね・・・。
1年間に1つのペースで抗がん剤を上市する(計画)予定ですから、

外資系製薬会社並みの勢いがありますね。。

そして、2025年には、抗がん剤事業で3000億円もの
売上を上げることも発表しています。

これもまたすごいですね・・・。

というもののの、現時点では、
第一三共社の売上の、抗がん剤が占める割合は
ほとんどないに等しいですからね・・・。

抗がん剤のパイプラインを見てますと、
注目の開発品はなんといっても、
複数の固形がんで臨床試験を実施している開発番号「DS-8201」です。

「DS-8201」は、
現在、開催中のASCO 2018(米国腫瘍学会)でも話題になっている製品です。

ちなみに、「DS-8201」の「DS」は第一三共という意味です。

「DS-8201」は、
現在、乳癌、大腸癌でフェーズⅡ(日米欧)の段階です。

各学会で報告されているデータを見てますと、

2017年のESMO(欧州の腫瘍学会)での発表(大腸癌)では、
ORR(奏効率):20%、PFS(無増悪生存期間):未測定

2018年のASCO GI(胃癌)では、
ORR:45.5%、PFS:5.8カ月

2017年のSABCSでの発表(乳癌)では、
ORR:61%、PFS:10.4カ月

という結果が発表されています。

奏効率(ORR)やPFSの発表があり、
良い結果が次々と報告されています。

上記の奏効率やPFSは、
他の抗がん剤と比較しても決して悪くない結果だと思います。

フェーズⅠのHER2陽性固形がんのウォーターフォールプロットを
見ても、ほとんどの患者さんで腫瘍縮小が見られており、
奏効率も53%ですので、
有効性は問題なさそうです。

では、
安全性についてはどうでしょうか。

副作用のプロファイルを見ても、
抗がん剤でよくみられる副作用が報告されており、
この薬剤に限った重篤な副作用は、

今のところ、データを見る限り、ほとんど問題なさそです。

といいつつも、
やや血小板減少(G4:3.2%)や
好中球減少(G4:4.3%)、
貧血(All Grade:34.1%)の発現率が多い気がしますが、

その他の抗がん剤でも、
血液毒性はよく見られる副作用ですので、
あまり問題となることはなさそうです。

また、この「DS-8201」は、
日本では、「HER2陽性胃癌」の適応にて、
先駆け審査指定を受けている製品です。

日本で優先審査を受けているということは、
それだけ必要価値が高い薬剤とも言えます。

この「DS-8201」は、
現在、

  • (HER2陽性)乳癌
  • (HER2発現)大腸、
  • (HER2過剰発現)非小細胞肺がん
  •  膀胱癌
  •  胃癌

と、いくつかの適応で臨床試験を実施しており、
今後に期待できそうな薬剤です。

 

他の開発中の抗がん剤で注目すべき開発品は、
血液がんのパイプラインであるAML治療薬「ギザルニチブ」と
CAR-T療法の「KTE-C19」ですね。

AML(急性骨髄性白血病)の適応にて臨床試験を進めている、
「ギザルニチブ」が国内フェーズⅡ、海外フェーズⅢです。

「ギザルニチブ」は最初は、AML(急性骨髄性白血病)の2nd Line、
次に、AMLの1st Lineを目標に試験が進められています。

 

そして、最も注目すべきは製品は、
前回のCAR-T療法の記事でも少し記載した、
CAR-T(カート)療法の「KTE-C19」です。

 

CAR-T療法については、
前回の記事で詳しくご紹介していますので、
もしよろしければご参照ください。

「KTE-C19」は、米国のカイトファーマ社の製品です。

したがって、
カイト社からの導入品ですが、
日本で臨床試験を実施しているのは、現在、第一三共社です。

ライセンス契約しており、
今後の第一三共社が国内での臨床試験~上市後までのすべてを担当します。

いち早く、CAR-T療法のパイプラインを
国内導入した第一三共さんはさすがですね。

国内での最初のCAR-T製品はノバルティス社になりそうですが、
2番手は第一三共社になるでしょう。

 

第一三共社は、現在、大きく変わろうとしています。

プライマリーやスペシャリティ製品中心だった第一三共社から、
オンコロジー製品メインの第一三共社に
大きくパラダイムシフトしつつあります。

オンコロジー領域に社運を賭ける気持ちも本気であり、
実際、オンコロジー製品へのリソースの集中(研究開発比率50%以上)や
自社開発でのオンコロジー製品への取り組み、
抗がん剤パイプラインの積極的な導入を通し、
オンコロジー中心の製品ラインナップに変革を遂げる未来を描いています。

 

がん事業を柱とする第一三共社、
今後ますます楽しみな製薬会社ですね。

 

私個人の意見としては、
このオンコロジー中心のパラダイムシフトには大賛成です。

オンコロジー製品に関わったことのある私としても、
現時点でも、抗がん剤製品はまだまだ十分揃っているとは言えず、
市場に出ている抗がん剤の多くは、半年~1年半ほどの間の腫瘍縮小効果しかほとんど
期待できず、「癌からの治癒」、はなかなか望めない状況です・・・・。

新たな抗がん剤の開発に期待をしつつ、
第一三共社の将来性にも大いに期待したいです。

 

以上、
第一三共社の将来性について、
私の独断と偏見で記載しました。

ご参考までに。

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コメント

    • 某内資系MR
    • 2018年 6月 08日

    日本だけの売上で見たら、DSはいまや国内No. 1メーカーですからね。
    ミクスの評価されてるMRランキングでも1位の企業ですし、実際にMR個人の能力は高い方が多いと思いますし、ジェネラルMRの最高峰という印象があります。
    個人的には武田薬品よりも優秀な人が多いイメージです。
    圧倒的に強みがあるのは循環器ですが、CNS、糖尿病、整形、抗生剤、ワクチン等、様々な領域で展開しているのも強みですね。
    DSも自社品だけでなく、導入品を活用して、売れる製品や補強したい領域に関しては、上手く展開しているイメージです。

    • ありがとうございます!
    • 2018年 6月 09日

    第一三共の将来性の見解をお伺いしたいとコメントしたものです。
    大変詳しく書いていただき本当にありがとうございます!抗がん剤へのパラダイムシフト、DS-8201の成功次第なのかなと感じました。
    某内資系MRさんもおっしゃっていますが、評価No.1MRなど、現場での評価が高いことも魅力に感じました!
    ありがとうございました!

  1. 某内資系MRさん
    コメント頂き有難うございます。第一三共社は、昔から、幅広い領域においてトップシェアを誇る、国内有数の製薬企業だと感じています。
    現在のところ、ジェネリックをメインに展開していたランバクシ―社の買収・売却以外は、概ね順調そうに見えます。
    第一三共社のMRさんは、幅広い領域や製品を担当していることもあり、かなり激務であるがゆえ、営業力も高い方が多い印象です。
    今後の将来性が楽しみな企業ですね。

  2. ありがとうございます!さん
    コメント頂き有難うございます。また、第一三共社の将来性について、ご要望頂き、有難うございました。この記事が何かかしらの参考になれば幸いでございます。
    今後とも取り上げてほしいテーマ等ありましたら、いつでもご連絡ください。
    今後とも宜しくお願い致します。
    ヒロ

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