アストラゼネカ社について

アストラゼネカ社の将来性について

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今回は、
アストラゼネカ社の将来性について、
私の独断と偏見にて、ご紹介させて頂きます。

アストラゼネカ社は、
イギリスに本社がある外資系大手製薬会社であり、
2016年度の売上高は、230億ドルと、
売上高、世界第10位の製薬会社です。

アストラゼネカ社と言えば、
消化性潰瘍治療薬でありPPIの「オメプラール」(2001年発売)や
「ネキシウム」(2011年発売)がとても有名な製品ですね。

「ネキシウム」は、
「オメプラール」の弱点を改良したPPIで、構造はほとんど同じです。

「オメプラール」は、光学異性体のR体+S体からなる構造ですが、
「ネキシウム」は、オメプラールの光学異性体S体のみからなる構造です。

「オメプラール」のR体(ネキシウムには含まれていない)は、
代謝酵素であるCYP2C19による影響をとても受けやすいため、代謝されてしまいやく、
効果が減弱してしまう可能性があります。

そのため、「ネキシウム」では、オメプラールのR体を取り除き、
オメプラールのS体のみにしたところ、CYP2C19による影響が少なくなり、
もちろん個人差はありますが、より多くの患者さんに効果が発揮できる薬剤となりました。

それゆえに、
世界では、消化性潰瘍治療薬のグローバルスタンダードな薬剤として、
「ネキシウム」は世界各国で幅広く使用されています。

「ネキシウム」は、
武田薬品社の「タケプロン」やエーザイ社の「パリエット」を凌ぐ、
世界で一番売れたPPIであり、世界でなんと4000億円以上もの売上を記録した
ブロックバスターであり、国内でも800億円以上もの売上を誇った薬剤です。

現在は、武田薬品さんの「タケキャブ」と
熾烈なシェア争いを繰り広げていますね。

そして、アストラゼネカ社と言えば、
高脂血症治療薬の「クレストール」も有名です。

クレストールは、もともと塩野義さんの開発品ですが、
海外では主にAZ社が販売しており、日本では両社が販売しています。

「クレストール」は最強のスタチンと呼ばれ、
LDL低下作用が一番強いと言われている、ストロングスタチンです。

現在の国内でのAZ社の売上の核となっている製品です。
「クレストール」はピーク時、凄まじい売上を記録しています。

なんと、ピーク時は全世界で約8000億円もの売上を記録したスタチンの中ではリピトールに次ぐ
売上を記録した薬剤です。

さすが最強のスタチンと呼ばれた製品です。

ただし、今後は、
海外でも国内でも、すでにクレストールの特許は切れていますので、
売上が上がることはないでしょう。

そろそろ国内でクレストールのAGが発売される頃ですね。

また、最近は呼吸器の「シムビコート」や「パルミコート」が好調ですね。

シムビコートやパルミコートはブロックバスターになった製品であり、
全世界で1000億円以上もの売上を記録している製品です。

 

最近のAZ社は、プライマリー製品では、呼吸器科製品が順調ですね。

2015年に武田薬品社の呼吸器事業を700億円で買収し、
さらに呼吸器に強い製薬会社となりました。

また、MRも呼吸器領域担当MRが現在、存在するようになりましたね。

開発パイプラインを見ても、
呼吸器科の新薬上市予定がいくつかあり、
呼吸器も今後期待が持てるかもしれません。

そして、アストラゼネカ社と言えば、
消化器や呼吸器も、もちろん有名ですが、
もしかしたらそれ以上に有名なのが、オンコロジー(抗がん剤)です。

アストラゼネカ社と言えば、オンコロジーと言われていた時代も
かつてはありました。

肺がん治療薬の「イレッサ」(ゲフィチニブ)は、
間質性肺炎等で一時話題になりましたね。

アストラゼネカ社は、
もともとオンコロジー領域に強いメーカーであり、
肺がん治療薬「イレッサ」を筆頭に、
「アリミデックス」(乳がん)、「カソデックス」(前立腺がん)、
「ゾラデックス」(乳がん、前立腺がん)、「ノルバデックス」(乳がん)、
「フェソロデックス」(乳がん)など、
有名で多くの使用実績のある抗がん剤をいくつか開発した製薬会社です。

かつては、オンコロジーといえば、
アストラゼネカ社といえるほど、
オンコロジーに強かった過去があります。

もちろん、今でのオンコロジーに強いのですが、
ここ何年か間、抗がん剤の新薬開発が
あまり上手くいっておらず、
抗がん剤新薬の上市が滞っていました。

現在のオンコロジー製品は、
2016年に発売した肺がんの「タグリッソ」を除けば、
発売して何年も経つ製品がほとんであり、
ここ何年も、抗がん剤の新薬不足に悩んでいました。

特に、
イレッサ、アリミデックス、カソデックス、
ゾラデックス、ノルバテックスはとても有名な抗がん剤ですが、
国内で発売してすでに、10年以上経過している抗がん剤です。

2016年にようやく期待の肺がん治療薬である「タグリッソ」を発売しましたが、
それまでは、オンコロジー領域においてはなかなか良い新薬が出ず、
かなり苦戦していた企業でもあります。

この時期に、AZ社の
オンコロジー領域のMRさんが他社に
何人か転職してしまったと聞いています。

特に、AZ社から、小野薬品社やMSD社の
オンコロジー領域に転職されてしまった方が
多かったみたいです。

ただし、
来年以降は、オンコロジーの新製品上市
がいくつか控えており、
今話題のあの免疫チェックポイント阻害薬の上市も控えています。

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今後、元祖オンコロジー企業として
巻き返しを図れるか、今後に期待ですね。

開発パイプラインも抗がん剤がずらりと並んでいます。

また、ここ数年は
AZ社としては新たな領域である糖尿病領域にも進出しています。

最近では、
SGLT2阻害薬「フォシーガ」(AZ社/小野薬品社)に
注力して活動していますね。

「フォシーガ」はもともとBMS社の開発品ですが、
海外では、AZ社とBMS社が販売しています。

国内では、「フォシーガ」は、
AZ社と小野薬品社がコプロして販売しています。

「フォシーガ」は、
世界で一番初めに発売されたSGLT2阻害薬です。

日本で一番初めに発売されたSGLT2阻害薬は、
アステラス社の「スーグラ」ですが、
海外で一番初めに発売されたのは、
「フォシーガ」なのです。

海外ではそこそこ順調ですが、
国内では、高齢者の脱水等の副作用や懸念により
一時使用が落ち込んでいましたが、
最近はSGLT2阻害薬によるメリットが見直され
使用が進みつつあります。

今後、どこまで伸ばせるか、ですね。

他の糖尿病治療薬として、
GLP1製剤の「バイエッタ」や「ビデュリオン」も扱っています。

AZ社はもともと糖尿病治療薬は扱っておらず、
糖尿病領域には新規参入の企業ですが、
糖尿病治療薬のコプロ等を通して、糖尿病領域でも利益確保を進めています。

そして、
先月(5月11日)、アストラゼネカ社が
話題になっていたニュースがありましたね。

アストラゼネカ社の社員(MR)の方々が
会社から一方的に配置転換や降格、減給させられた
として、地位確認と減給分の差額の支払いを求めて
東京地裁に労働審判の申し立てをしたニュースです。

MRから資材管理、倉庫業務等、「追い出し部屋」に配置転換され
降格や減給をさせられ、不当なリストラを目的としてものだ、と訴えています。

外資系製薬会社では、
AZ社に限らず、上記のような対応(配置転換や退職勧告等)は
よくあり、決してAZ社だけに限った問題ではありません。

特に、MR数を多く抱えている外資系製薬会社では
人員削減のために、MRを早期退職やリストラ、
自主退職を促すような対応でMR数を削減することがよくあります。

AZ社は、以前から思っていましたが、
40代、50代のMRの生き残りが他社に比べ厳しい雰囲気を感じていました。

「40歳以上のMRの生き残りが厳しい製薬会社ランキング」があったら、
TOP3には、ほぼ確実入ると思われる厳しさです。

元AZ社のMRさんから色々とお話しをうかがったことがあり、
本当にAZ社での生き残りはシビアである、と感じています。

とても定年まで勤め上げられる製薬会社という感じはしなかったです。

といっても、
他の大手外資系製薬会社も40歳以降のMRの生き残りは相当シビアであり
同じような状況です。

20代、30代前半は比較的安心できるかもしれませんが
それ以上になると早期退職やリストラの
対象になるケースが多く、外資系製薬会社での生き残りは本当にシビアであり、
私としては正直、この状況やいくつかの外資系製薬会社の対応はいかがなものか、と思っています。

色々と改善の余地はあると考えていますので、
この件については、また別の記事で取り上げたいと思います。

さて、ということで、
話が逸れましたが、AZ社の現状や今後について
ざっと記載してみました。

まとめますと、

【現状】
①内科系領域は、消化器、呼吸器に注力。呼吸器は順調だが、消化器はそろそろピークアウト。
②内科系領域は、新規参入の糖尿病領域にも注力。果たして効果の程は・・・。SGLT2「フォシーガ」次第か。
③オンコロジーは2016年の「タグリッソ」以外、期待の新薬が出ず、相当厳しかった。

【今後】
①内科系領域は、特に呼吸器に注力。呼吸器はパイプラインもいくつかあり、将来性が期待できる。
②オンコロジーは、期待の免疫チェックポイント阻害薬が発売し、回復の兆し。他の抗がん剤もいくつか発売予定あり。
③今後は、開発パイプラインが、オンコロジーと呼吸器に集約しており、オンコロジーと呼吸器メインの製薬会社になる可能性あり。

 

ということで、
現在は、AZ社は、領域としては、
消化器、呼吸器、糖尿病が売上のメインになっています。(国内では)
今後は、消化器はそろそろピークアウトを迎え、
糖尿病もどこまで伸ばせるかにもよりますが、
SGLT2阻害薬の「フォシーガ」次第な予感がします。
海外では「フォシーガ」はそれなに順調に伸びていますので、
国内でもどこまで伸ばせるか、ですね。

そして、呼吸器は今後も順調そうです。

さらに、オンコロジーが復活の兆しを見せています。
アストラゼネカ社は、元祖オンコロジー企業ですので、
オンコロジーに強いアストラゼネカ社に戻れるか、ですね。

オンコロジーでは、期待の免疫チェックポイント阻害薬である
抗PD-L1抗体の「デュルバルマブ」と抗CTLA-4抗体である「トレメリブマブ」が
来年頃に発売予定です。

乳がん治療薬の「オラパリブ」も来年頃に国内で上市予定ですので、
今後、オンコロジー領域に関しては好調な兆しを見せています。

「オラパリブ」はすでに海外で発売されている抗がん剤ですので、
国内でもほぼ問題なく発売されるでしょう。

ということで、
アストラゼネカ社の将来性について、
私の独断と偏見で記載してみました。

ご参考までに。

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コメント

    • 某内資系MR
    • 2017年 7月 15日

    AZさんは、個人的に女性比率(しかも綺麗な方)が高くスタイリッシュな会社だなという印象を持っていました。
    製品力の高さはありますし、数字に関してはおっしゃる通り、相当きついというのは聞き及んでいます。
    昨今の訴訟問題は、非常に勇気を持った行動であり、動向を見守りたいです。
    AZ社に限らず外資は特にそうですが、40歳を超えてパフォーマンスが優れなければ、いくら過去に優れた成績を残していても退職勧奨として目をつけられる状況ですね。
    製薬業界の雇用に一石を投じることになればと思います。

  1. 某内資系MRさん
    いつもコメント有難うございます。
    AZ社は、確かに、女性の方(綺麗な方)が多くスタイリッシュな方が多い印象を、
    私も持っています(笑)
    と同時に生き残るがかなりシビアな会社であると聞いています・・・。
    今まで結構な数の元AZ社のMRさんとお会いし、色々伺いました。
    大手外資系製薬会社の多くは、40代、50代のMRさんの生き残りがかなりシビアで
    あり、この状況には本当に一石を投じたいですね・・・。
    ヒロ

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