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今回は、
ノバルティス社の将来性について、
私が思うことを記載します。
ノバルティス社と言えば、
国内では「循環器」領域をメインに
成長して来た外資系の大手製薬会社です。
循環器領域の製品では、
高血圧治療薬「ディオバン」がとても
有名な製品ですね。
「ディオバン」はブロックバスター(1000億円以上)に
なった製品であり、
ピーク時は、国内だけで、
なんと1400億円以上もの売上を記録した
当時のノバルティス社の売上の約1/3を
占めていた製品です。
全世界でも4000億円以上もの
売上を記録した製品です。
数年前のディオバン問題ではかなり
話題になりましたね。
ノバルティス社の肩を持つわけではありませんが、
ディオバン問題は氷山の一角であり、
いくつかの製薬会社がディオバン問題のように
コンプライアンス的な問題が顕在化する
可能性はあったと考えています。
実際、ディオバン問題後、数社、
コンプライアンス違反や疑いで
話題になっていましたね。
その後、ノバルティス社では、
社内の体制は大きく変わったと
聞いています。
もちろん良い方向に変わったということです。
しかし、ディオバン問題をきっかけに
ノバルティス社から、
他社に転職してしまったMRさんもそれなりに
いたと聞いています。
現在はどの製薬会社も
コンプライアンスにとても厳しくなり、
だいぶ変わりました。
厳しくなりすぎて、やや不便なことも
ありますが、それだけ現在の製薬会社は
コンプライアンスを重視し、
よりよい会社へと変革を遂げています。
ノバルティス社だけでなく、
ここ数年で製薬会社のコンプライアンスや
社内体制は大きく変わりました。
良い方向に向かっていますね。
さて、話は変わりまして、
ノバルティス社は、製薬業界(グローバル)では
売上高(2016年度)、
世界第3位の大手外資系製薬会社です。
ファイザー社(1位)、ロシュ社(2位)に
次ぐ売上高ですね。
常にファイザー社やロシュ社等と
首位争いをしています。
国内でのMR数も、1,800名ほどと、
在籍MR数も多く、扱っている医薬品の領域も
幅広く、多くの領域をカバーしています。
また、ノバルティス社と言えば、
循環器だけでなく、
オンコロジー領域にも強い製薬会社として
日本だけでなく、世界的にも知られています。
ノバルティス社(グローバル)の
売上のなんと24%(2015年度)が
オンコロジー製品です。
オンコロジー領域(製品)において、
世界第一位の売上を誇る製薬会社は、
ロシュ社(中外製薬社)ですが、
世界第二位の売上を誇る製薬会社は、
実は、ノバルティス社です。
これはあまり知られていない
かもしれません。
いや、結構知られてますかね?
オンコロジー領域でも、
ロシュ社(1位) VS ノバルティス社(2位)
であり、グローバルにおいても、
首位を争っています。
ただし、
ロシュ社(とその子会社のジェネンテック等)は、
やはりオンコロジーに滅法強く、
なかなかノバルティス社は追いつけません・・・。
ノバルティス社は、
2015年に、GSK社のオンコロジー部門を
買収し、さらにパワーアップしたノバルティス社ですが、
それでもロシュ社にはなかなか追いつけない状況です。
ロシュ社が扱っているオンコロジー製品の
ブロックバスター(1000億円以上)は、2013年度の段階で
リツキサン(約7500億円)、アバスチン(約7000億円)、
ハーセプチン(約6800億円)、タルセバ(約1400億円)、
があり、これらの製品は、グローバルでも国内でも、
凄まじい売上高を記録しています。
特に、リツキサン、アバスチン、
ハーセプチンの売上は驚異的ですね・・・。
また、ロシュ社は、
今後もブロックバスターになりそうな
オンコロジー製品をいくつか扱っており、
オンコロジー領域に関しては、
今のところほとんんど敵なしの
ロシュ社(中外製薬社)です。
一方、
ノバルティス社のオンコロジー製品に関しては、
ブロックバスター品(2015年度)は、
グリベック(4700億円)、タシグナ(1600億円)
アフィニトール(1600億円)の3製品ですね。
グリベック、タシグナは血液がん、
アフィニトールは固形がん、です。
今後、ブロックバスターになり得る
オンコロジー製品もいくつか扱っており、
固形がんの「ヴォトリエント」は
順調に売上を伸ばしており、
今後、ブロックバスターにもなり得る
製品です。
開発中の乳がん治療薬でも
ブロックバスター候補が1剤ありますね。
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さて、そんなオンコロジー領域にも強い
ノバルティス社ですが、
ノバルティス社のMRさんは領域制であり、
多くの領域の製品を扱っていることもあり、
領域別に細かく分かれています。
オンコロジー領域のMRも
オンコロジー製品(10品目以上)扱っている
ことから、固形がんMRと血液がんMRに
分かれています。
オンコロジーMRが2つの領域に分かれているのは、
ノバルティス社を筆頭に、数社しかありません。
さすが、製品豊富なノバルティス社です。
ノバルティス社の
製品ラインナップを見てみますと
非常に多岐にわたっています。
大きく分類すると、
以下になります。
【ノバルティス社 製品ラインナップ】
①内科(糖尿病、高血圧、呼吸器等)
②がん(固形癌、血液癌、オーファン)
③中枢神経(アルツハイマー、パーキンソン、多発性硬化症等)
④皮膚、移植、免疫(コセンティクス等)
⑤眼科(販売はアルコンファーマへ)
これを見ますと、
ほぼすべての領域を網羅していますね。
す、すごいです・・・。
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⑤の眼科製品の販売は
今後アルコンファーマ社が行うと
先日、発表がありましたね。
まず、現在の国内での主力の領域は
なんといっても、内科系製品です。
現在(2016年度売上)は、
エクア(335億円、糖尿病)、ディオバン(170億円、高血圧)、
エクメット(110億円、糖尿病)、
の3製品が主な内科領域の主力製品ですね。
エクアはDPP4阻害薬(糖尿病)、ディオバンはARB(高血圧)、
エクメットは配合剤(エクア+メトホルミン)ですね。
もちろんこれらの内科製品以外にも、
循環器領域の製品である、
エックスフォージ(高血圧合剤)やコディオ(高血圧合剤)も
それなりに売上があり、
呼吸器領域の製品も100億円以下ですが、
そこそこの売上があります。
そして、糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬である
新薬である「ルセフィ」も大正富山さんと
併売ですが、扱っています。
最近は、
内科系領域では特に糖尿病領域に
力を入れており、
DPP4製剤の「エクア」は新薬ですが、
すでに売上のピークを迎えていますので、
現在は「エクメット」に注力して、
売上を伸ばしていますね。
現在、
「エクア」から「エクメット」への切り替え促進中です。
「エクメット」は、「エクア」+「メトホルミン」の配合剤ですが、
この「メトホルミン」はとても良い薬剤と言われており、
使いやすく、昔からの使用実績も豊富にあり、
2型糖尿病治療ではほぼ欠かせない薬剤です。
2型糖尿病治療のファーストチョイスにも
よく使用される薬剤です。
大日本住友さんがメトホルミンの先発品を
扱っています。
糖尿病領域に関しては、今後、
「エクメット」の売上がどこまで
伸ばせるかですね。
メトホルミンとの相性が良い
1日2回投与でどこまで訴求できるか、
今後に期待です。
また、SGLT2阻害薬「ルセフィ」も
ありますので、糖尿病領域には
さらに注力していく必要がありますね。
循環器領域は、かつての柱だった
ディオバンはすでに特許切れで
後発品が発売されており、
また、ディオバンの合剤のエックスフォージや
コディオもすでにピークアウトを
迎えており、
循環器製品は厳しい状況です。
呼吸器領域は、
現在は核なる売上の製品はありませんが、
今後上市予定の新薬もあり
期待が持てるかもしれません。
続いて、
がん領域関しては、
上記で記載した通り、
中外製薬さんに次ぐくらい
豊富なラインナップです。
ノバルティス社が扱っている抗がん剤は、
10品目以上あり、
これだけ多くの抗がん剤を扱っている
製薬会社は、国内では、
中外さんとノバルティスさんくらいです。
最近は、血液がん領域の製品が好調ですが、
固形がん製品もGSK社からの移管製品もありますので
それなりに数はあります。
しかし、固形がん製品に関しては、
そこまで売上は順調ではないように見えます。
乳がんや腎がんの製品をどこまで伸ばせるか、
ですね。
中枢神経領域は、
多発性硬化症治療薬「ジレニア」が好調ですね。
ブロックバスターであり、
3000億円以上もの売上を上げています。
アルツハイマー治療薬である
「イクセロン」はもう数年でピークアウト
を迎えそうですが、あとどれだけ伸ばせるか
ですね。
今後も中枢神経領域は、
引き続き多発性硬化症治療薬や
新規多発性硬化治療薬に
注力するものと予想されます。
免疫・皮膚・移植領域では、
2015年に発売した乾癬治療薬の「コセンティクス」が
順調に伸びていますね。
国内でも海外でも順調です。
「イラリス」もあり、
免疫・皮膚領域は今後好調な予感ですね。
以上、ざっとですが、
ノバルティス社の現状を振り返りました。
まとめますと、
【現状】
①今まで循環器や糖尿病領域で売上を上げて来たが、現在、順調に伸びているのは「エクメット」のみ。
②がん領域は、血液がん製品が好調。固形がんは・・・。
③中枢神経は、多発性硬化症治療薬(ジレニア)が好調。アルツハイマー治療薬(イクセロン)は厳しい。
④皮膚・免疫は、発売して間もない「コセンティクス」が順調。「イラリス」も順調。この2剤はブロックバスター候補。
【今後】
①今後、循環器と糖尿病で伸ばすのはかなり困難。呼吸器製品をどこまで伸ばせるか。
②血液がんは引き続き順調だが、固形がん製品である乳がん、腎がん治療薬をどこまで伸ばせるか。
③中枢神経は、新規多発性硬化症治療薬(開発中)に期待。
④皮膚・免疫は、安定の強さ。「コセンティクス」や「イラリス」等はまだまだ伸びる。
現状と今後を4点づつまとめてみました。
内科系領域は今まで柱としてきた高血圧と糖尿病製品の
伸びは今後は厳しい状況です。しかし、呼吸器領域に関しては
は新薬上市も控えており、
今後、期待が持てそうです。
がん領域は、血液がんが好調ですが、固形がんの製品もいくつかあり、
乳がんや腎がんの薬剤をどこまで伸ばせるか、ですね。
今後、新規乳がん治療薬の上市も控えていますので、
今後、血液がんだけでなく、固形がんも注目です。
中枢神経は、アルツハイマー治療薬「イクセロン」
は今後厳しいですが、多発性硬化症治療薬が好調であり、
今後、新規の多発性硬化症治療薬の上市予定もあり、
中枢神経は今後も順調そうです。
皮膚・免疫・移植領域は、
引き続き、乾癬治療薬「コセンティクス」が好調ですね。
ブロックバスター候補であり、
海外でもすごい勢いで伸びています。
ノバルティス社は今までは、循環器や糖尿病といった
内科系疾患治療薬で多くの売上を獲得してきましたが、
今後は、中枢神経、皮膚・免疫やがん領域の製品が
中心になりそうです。
製品ポートフォリオも大きく変わりますね。
以上、ノバルティス社の将来性について、
私の独断と偏見で語ってみました。
私イチ個人の誠に勝手な意見ですので、
上記内容は過信しすぎずに、
ご参考程度にお願い致します。
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ディオバンとタシグナ事件でミソが付きましたが、ノバルティスは業界内での評価も高く、先生方からの評価も高い企業だったんですけどね。
製品力は間違いなく高いし、規模も世界トップ3内ですし。
本当、ノバルティス社は氷山の一角であり、大なり小なり他の企業も同様のことはしてきたでしょうし、これが良くも悪くもこれが契機になって現在の締め付け・コンプライアンス強化に繋がってるのかなと。
某内資系MRさん
コメント有難うございます。
ノバルティス社の製品力や業界内での評価はもともと、とても高いですよね。
ディオバン事件等があり、大きく製薬業界は変わりましたが、
数年前からプロモーションコードやコンプライアンスがとても厳しくなり、
現場のMRとしては色々大変ですよね・・・。
いやはや、色々と厳しくなりすぎでは、と思う今日このごろです。
ヒロ