アステラス社について

アステラス社の将来性について

スポンサーリンク

今回は、
アステラス社の将来性について
誠に勝手ながら、私の独断と偏見にて、
ご紹介させて頂きます。

アステラス社と言えば、2005年に山之内製薬と藤沢薬品が
合併してできた製薬会社であり、
大手内資系製薬会社の1つですね。

大手内資系製薬メーカー御三家(武田、アステラス、第一三共)の1社です。

2016年度の売上高は、
1兆3,000億円ほどであり、
国内の製薬会社では武田薬品さんに次ぐ、
第2位の売上を上げています。

現在のアステラス社の主力領域(製品)は、
グローバルでは、
「泌尿器」(ベシケア、ベタニス、イクスタンジ)と
「免疫」(プログラフ)です。

国内での、主力領域(製品)は
循環器領域であり、高血圧治療薬であるミカルディスファミリーが
大きな売上を占めています。

最近、ミカルディスのパテントクリフが
大きな話題となっていますね。

ジェネリックが発売し、利益激減するのではないか、と言われています。

そんなアステラス社ですが、
現在、国内製薬メーカーで第2位の売上を
誇る製薬会社であり、武田さんと首位争いをしていますが、
昔は、国内では武田薬品さんのほぼ一強だった事実があります。

ここで言う「昔」とは、
アステラス社が、山之内と藤沢と合併する前であり、
また、第一三共社も、第一製薬と三共が合併する前のお話しです。

要するに、
2005年ですね。

アステラス社や第一三共社が合併で誕生するまで(2005年まで)は、
ほぼ武田薬品社の一強だったわけです。

というのも、
国内製薬メーカーの売上高の順位は、
武田さんとそれ以外、といった状況でした。

実際、合併前の各社の
売上高は、2004年の段階で、

①武田薬品:約8800億円
②エーザイ:約4900億円
③三共:約4400億円(第一三共)
④山之内:約4300億円(アステラス)
⑤藤沢薬品:約3800億円(アステラス)
⑥第一製薬:約2900億円(第一三共)

という状況でした。

ほぼ武田さんの一強だったことが、お分かり頂けると思います。

 

国内での売上高は、
武田さんが一歩抜きん出ており、それ以外の製薬メーカーの売上は、
2000~4000億円ほどだったわけです。

そんなわけで、武田さんとそれ以外といった状況でした。

それが、山之内と藤沢が合併しアステラスが誕生し、
第一製薬と三共が合併し、第一三共が誕生し、今や、アステラス社や第一三共社は
武田さんと張り合うくらいまでに成りましたね。

もちろん2社が合併して
誕生したわけですから売上や製品力がアップして当然なわけですが、
それでも今や武田さんと肩を並べるくらいの売上や製品力、開発力がありますね。

アステラス社の前身の、
山之内製薬は、泌尿器領域、藤沢薬品は、免疫や抗生物質に強い製薬会社でした。

泌尿器疾患の「ハルナール」や消化器の「ガスター」は、
「山之内製薬」の自社開発であり

免疫抑制剤の「プログラフ」や抗生物質の「ファンガード」「セフゾン」は、
「藤沢薬品」の自社開発品です。

上記の「ハルナール」や「プログラフ」は
海外でもかなりの売上を誇っており、
日本発のブロックバスター(1000億円以上)製品です。

「ハルナール」(タムスロシン)は前立腺肥大症治療薬の第一選択薬として
世界中で使用されています。

「ハルナール」は、
前立腺肥大症のグローバルスタンダードな薬剤です。

「プログラフ」(タクロリムス)は、1993年に発売され、
移植時の拒絶反応を効果的かつ安全に抑える貴重な免疫抑制剤として
世界中で使用されており、特に移植が盛んな欧米でとても高い評価を受けている製品です。

今では「プログラフ」は移植にはほとんど欠かせない薬剤となっており、
もちろん日本でも大きな役割を果たしています。

そんな日本製の海外でも高く評価されているブロックバスター製品を
開発したのが、アステラス社です。

特に、「ハルナール」と「プログラフ」は海外でとても高い評価を受けています。

「プログラフ」は今でも全世界で1800億円ほどの売上を誇り、
「ハルナール」は500億円ほどの売上を記録しています。

ハルナールは特許切れによる影響をかなり受け、
売上は急速に落ちていますが、プログラフはすでに特許は切れているものの、
売上はあまり落ちていません。

両剤ともパテントクリフ(特許切れによる後発品への切り替え)
による影響があるにも関わらず、
なぜこのように差があるかわかりますか?

実は、プログラフ(タクロリムス)は、免疫抑制剤であるため、
移植や難治手術に使用する薬剤であり、
高い専門性や安全性が必要な薬剤であるため、特許が切れても、
後発品への切り替えはあまり進まず、プログラフが使用し続けられているのです。

この傾向は、海外でも国内でもほぼ同じです。

そんなアステラス社ですが、
領域としては、従来から、
「泌尿器」や「免疫」「抗生物質」に強い会社です。

今も泌尿器や免疫等に強い会社ですね。

泌尿器は山之内製薬が強く、
免疫・抗生物質は藤沢薬品が強かったので
そのまま流れを引き継いでいますね。

 

では、現在の国内での製品別売上高はどうでしょうか。

 

2016年の製品別売上高(国内)は、

 

①ミカルディス(ミカロム、ミコンビ含む):932億円(前年比:-)
②プログラフ:488億円(前年比:-)
③セレコックス:476億円(前年比:-)
④シムビコート:393億円(前年比:+)
⑤ベタニス:259億円(前年比:+)
⑥ベシケア:256億円(前年比:-)
⑦イクスタンジ:234億円(前年比:+)
⑧リピトール:232億円(前年比:-)
⑨マイスリー:147億円(前年比:-)
⑩ボノテオ:138億円(前年比:-)
⑪ファンガード:112億円(前年比:-)
⑫ガスター:107億円(前年比:-)
⑬ジェニナック:101億円(前年比:-)
⑭スーグラ:95億円(前年比:+)
⑮ハルナール:92億円(前年比:-)

という状況です。

前年比がプラス(+)になっている製品は、
上記記載の15品目の中では、

呼吸器の「シムビコート」、泌尿器の「ベタニス」、
前立腺がんの「イクスタンジ」、糖尿病の「スーグラ」、
の4製品のみです。

高血圧治療薬のミカルディスファミリーは
一番の売上高を誇りますが、
すでにピークアウトを迎えており、これ以上、
売上が伸びることはないでしょう。

ミカルディスもついに特許が切れてしまいました・・・。

ちなみに、ミカルディスは、
アステラス社の開発品ではなく
ベーリンガー社からの導入品です。

プログラフはすでに特許は切れて
後発品も発売されていますが、上記で記載した通り、
移植や手術といった高度な治療で使用する製品ということもあり、
世界的に売上が落ちない珍しい製品です。

もちろん売上が伸びることはありませんが、
毎年微減するだけで、それなりの売上を維持し続けています。

セレコックス(セレコキシブ)は、
COX-2選択的阻害薬ですね。

COX-2に選択的なため、COX-1に対する選択性が少なく
他の薬剤に比べ、胃腸障害が少ないのが特徴です。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)ですね。

セレコックスは、2019年に特許が切れますので、
2019年までは微増するでしょう。

セレコックスも、もともとアステラス社の開発品ではなく、
ファイザー社からの導入品です。

そして、シムビコートは、喘息治療剤ですね。

アストラゼネカ社からの導入品であり、
抗炎症薬「ブデソニド」とβ2刺激薬「ホルモテロール」の配合剤です。

スポンサーリンク

「ブデソニド」はグルココルチコイドであり、
いわゆるステロイドの一種です。

シムビコートはブロックバスター品であり、
世界各国で多くの使用実績のある気管支喘息治療薬です。

シムビコートの特許は
2019年までですのでどこまで国内で伸ばせるか、ですね。

泌尿器疾患治療薬である「ベシケア」は、2006年に発売し、発売してすでに
10年以上経過し、全世界で1000億円以上の売上を上げたブロックバスター製品ですね。

「ベシケア」に次ぐブロックバスターになるといわれている製品が、
同じ過活動膀胱治療薬の「ベタニス」です。

「ベタニス」は世界初のβ3刺激薬であり、現在、
国内では298億円の売上を誇り、全世界でも988億円もの売上を誇る製品です。

国内でも海外でも順調に売上を伸ばしていますね。

「ベタニス」発売前までは、過活動膀胱(OAB)治療薬と言えば、
抗コリン薬しかない状況でした。

抗コリン薬は、高齢者では口喝等の副作用が起こりやすく、また緑内障や喘息のある
患者さんでは禁忌や使用注意であることが多く、
抗コリン薬ではないOAB治療薬の発売が以前から切望されていました。

そんな抗コリン薬ではないOAB治療薬がベタニスです。

そして、同じ泌尿器科領域の薬剤で前立腺がん治療薬の「イクスタンジ」も好調ですね。

「イクスタンジ」は米国では2012年、日本では2014年に発売し、
すでにブロックバスターになっています。

国内での売上高は、234億円ですが、全世界での売上はなんと、
2,500億円もの売上を上げています。

極めて好調ですね。

日本でも2014年に発売したばかりですので、今後も順調に推移していくと予想されます。

続いて⑧~⑬の製品はよく知られている製品ですね。

「リピトール」、「マイスリー」、「ガスター」は、
とても有名な製品ですが、すでに特許切れており、後発品が発売しています。

骨粗鬆症治療薬「ボノテオ」はちょうど今年(2017年)、特許が切れました。

抗生物質「ジェニナック」は発売して10年ほど経っており、すでに売上の
ピークアウトを迎えています。

そして、糖尿病治療薬でありSGLT2阻害薬の「スーグラ」は期待の新薬ですね。

2014年に発売し、
国内で一番最初に発売したSGLT2阻害薬です。

「スーグラ」はアステラス社と寿製薬社の共同研究によって開発された、
国産のSGLT2阻害薬です。

MSD社とコ・プロしていますね。

2016年度の売上高は、95億円であり、一時期を除けば、
最近はそれなりに順調に伸びています。

「スーグラ」は国内でのみで発売されており、
当初は、アメリカや欧州といった海外での発売も予定していましたが、
すでに海外で発売予定のSGLT2阻害薬がいくつかあり、採算が取れない
可能性があるとのことで、海外での開発や上市は中止になりました。

SGLT2阻害薬やDPP4阻害薬市場では、
一番初めに発売した薬剤がかなり有利になる傾向があり、
実際、海外でも日本でも一番最初に発売したDPP4阻害薬である、
「ジャヌビア」は海外でも日本でも他剤を寄せ付けない圧倒的な売上を誇っています。

作用機序がほとんど同じ薬剤の場合、
何かしらの卓越した特徴がある薬剤でない限り、
一番最初に市場に上市した薬剤が有利になる傾向が強いです。

そのため、アステラス社の海外での「スーグラ」開発中止は正しい判断だったのかもしれません。

ということで、
ざっとアステラス社の製品を振り返ってみました。

まとめますと、
以前から得意領域の泌尿器科領域は、
現在、「ベタニス」と「イクスタンジ」を筆頭に順調に伸びています。

過去:前立腺肥大症治療薬「ハルナール」+過活動膀胱治療薬「ベシケア」

現在:過活動膀胱治療薬「ベタニス」+前立腺がん治療薬「イクスタンジ」

 

今後数年は、ベタニスとイクスタンジで順調に推移していくでしょう。
今後も泌尿器科領域は安泰そうですね。

また、「イクスタンジ」は前立腺がん治療薬ですが、
「ER/PR陽性乳がん」の適応追加の臨床試験や「肝がん」の適応追加の臨床試験も
フェーズⅡの段階であり、現在進行中です。

今後ますます適応が増えそうですね。

さらに、開発中の抗がん剤の中には、
有望な抗がん剤がいくつかあり、その中でも、
新規の急性骨髄性白血病治療薬(AML)の
「ギルテリチニブ」(一般名)の臨床試験(フェーズⅢ)が進行中です。

他には、
腎性貧血治療薬の「ロキサデュスタット」があります。

この薬剤は経口の腎性貧血治療薬です。

「エスポー」や「エポジン」、「ネスプ」と
同じ腎性貧血治療薬です。

エスポ―、エポジン、ネスプは注射剤の腎性貧血治療薬ですが、
この「ロキサデュスタット」はなんと経口薬なのです。

「ロキサデュスタッット」は、
経口投与の低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素阻害剤です。

HIFはたんぱく質転写因子であり、
低酸素の状態に向かう自然な生理学的反応を誘導して、
赤血球生成(赤血球が生成されるプロセス)や
その他の防除経路をいわば「最適化」する役割があります。

現在、日本におけるCKD保存期や透析期の
慢性腎臓病患者さんを対象としたフェーズⅡ試験ににおいて、良好な結果が得られていますので、
今後、もしからしら既存の腎性貧血治療薬に
代わる薬剤になるかもしれません。

といったように、アステラス社は今後も、
「がん」、「泌尿器・腎」、「免疫」領域に注力して開発していくそうです。

そして、アステラス社はここ数年、
実は国内の売上高よりも、海外の売上高の方が多い製薬会社です。

2015年度の段階で海外売上比率は
約60%であり、国内製薬メーカーの中でほぼトップの海外売上比率を維持しています。

約60%が海外売上比率ということは、
1兆3,000億円ほどあるアステラス社の売上のうち、
約7,800億円ほどが海外での売上高ということです。

医薬品マーケットはもちろん日本だけでなく、
世界中でマーケットがありますから、アステラス社のように、海外での売上が
好調な製薬会社が日本の製薬会社でたくさん出てこれば、もし国内での売上が
不調になった場合でも、収益を海外売上で十分にカバーできます。

国内マーケットだけでなく、
海外マーケットでも利益を確保するという
手段は多くの内資系製薬会社に見習ってほしい手法ですね。

日本の医薬品マーケットも今後どうなるか
不透明な部分もありますからね。

国内市場では、「ミカルディス」の特許が切れた現在、

呼吸器「シムビコート」
過活動膀胱「ベタニス」
前立腺がん「イクスタンジ」
糖尿病「スーグラ」

を中心にプロモーションしており、昨年、
新規作用機序の高脂血症治療「レパーサ」を発売し、
今年(2017年)の3月には、便秘型過敏性腸症候群治療薬(IBS-C)「リンゼス」を
発売しました。

最近、アステラス社のMRさんは、
かなり「リンゼス」に注力してプロモーションしていますね。

こうしてみると、
アステラス社は、国内市場では、
ミカルディスファミリーの利益減少は大きな痛手ですが、
それをカバーする製品力や開発力があり、海外市場でも現段階では好調な売上高を
上げており、海外売上比率も約60%とトップクラスに高く、

他の内資系製薬会社に比べ、かなり有利である
現状である、と考えています。

 

以上、アステラス社の将来性について、
私の独断と偏見で語ってみました。

上記の内容は、
あくまで私の個人な見解ですので、
過信しすぎずに、ご参考までにお願い致します。

スポンサーリンク

スポンサーリンク

コメント

    • 某内資系MR
    • 2017年 7月 15日

    アステラスさんは、個人的に医薬品商社みたいな感覚があります(良い意味です)。
    と言うのも、ミカルディスやセレコックス、シムビコートやリピトール、ジェニナックもそうですが、強みのある領域で製品として大型化の見込みがある品目に関しては積極的に他社から導入して販売している印象があります。
    結果的にその戦略は功を奏していると思いますし、今の地位を築き上げるのに一役買ってますね。
    海外からの導入品も、アステラスのラベルで販売しているからこそ卸への圧力がかかってる側面もありますし。
    自社品が開発できなくとも、上手く立ち回るロールモデルのような企業かなと個人的には感じてます。

  1. 某内資系MRさん
    コメント有難うございます。
    とても鋭いご指摘ですね。本当にその通りだと思います。
    「リピトール」、「ミカルディス」、「シムビコート」等、
    大型化の製品を扱っていますが、いずれも導入品であり、
    導入品で確保たる利益を上げつつ、自社品である「ハルナール」や
    「プロググラフ」、「ベシケア」、最近では「ベタニス」等、
    上手く、自社開発品と導入品、いずれも売上の柱となっていますね。
    アステラス社は、自社品と導入品のバランスが絶妙で、
    上手く製品構成されている会社でもありますね。
    国内でのここ数年の売上は、やや導入品に傾いていますが、
    海外で自社品の利益をしっかり確保しているところはさすがですね。
    海外売上比率が約60%と高いのも、利益の底上げをしている
    成功の要因ですね。
    アステラス社はなかなか魅力的な会社だと感じています。
    ヒロ

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP