MSD社について

MSD社の将来性について

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いや~、久しぶりの
更新となってしまいました・・・。

今日は三連休の中日ですし、
仕事も休みですので、
そろそろブログ更新再開していきます。

メッセージ頂いた方々、有難うございました。
返信遅くなりまして大変申し訳ありません・・・。

仕事に追われ、全然更新できませんでした・・・。
すみません・・・。

順に記事にしていきます。
宜しくお願い致します。

さて、
今回は、ご要望頂いたこともあり、
MSD社の将来性について、
私の独断と偏見でご紹介します。

MSD社と言えば、
大手外資系製薬会社の1つで、
2016年の売上高は、製薬会社の中で、

1位:ファイザー
2位:ロシュ
3位:ノバルティス

に次ぐ、第4位の約400億ドルの大手外資系製薬会社です。

日本での売上高は、2016年度の段階で、
3100億円ほどです。

MSD社と言えば、
先日、250名という大規模な早期退職制度を実施し、
話題になっていましたね。

MSD社は今まで大々的な早期退職はあまり
実施していませんでしたが、
水面下では、定期的にMRの早期退職を実施し、
MR数を減らしていました。

主に40代、50代のMRの早期退職を
水面下で進めていました。

しかし、ここにきて、250名という
大規模な早期退職を発表しました。

MSD社は、
元々、万有製薬とシェリングプラウが合併した
製薬会社であり、合併時から、
MR数が膨れ上がっており、MR数がかなり多く、
大規模な早期退職が行われるのではないか、
と以前から言われていました。

大手外資系製薬会社で
MR数を大幅に減らしていない製薬会社は、
MSD社くらいで、
(といっても、2013年前後に減らしていますが)
他社が大規模な早期退職を進める中、
MSD社は少しずつしか、早期退職を実施しておらず、

そろそろ大規模な人員削減が来るのではないか、
とよく言われていました。

ここに来て、MSD社も人員削減か・・・、
といったところです。

 

個人的には、
MSD社は大手外資系製薬会社の中では、
比較的、働きやすい会社であり、
労働環境だけ見れば(製品力や給料等を除けば)
最もおススメできる製薬会社の1つです。

MSD社は、
現時点では、MRを退職に追い込むようなことはあまりせず、
大手外資系製薬であるにもかかわらず、
働きやすい雰囲気があり、
40代や50代のMRの方も多く、
以外にもアットホームな製薬会社です。

個人的な見解ですが、
MSD社は大手外資系製薬会社の中では、
最も労働環境が良く、
長く勤務できる可能性がある
製薬会社の1つだと考えています。

さて、MSD社と言えば、
昔は、高血圧治療薬の「ニューロタン」や
配合剤「プレミネント」が有名な製品でしたが、
ここ数年では、糖尿病治療でありDPP4阻害薬の「ジャヌビア」、
最近では抗PD-1抗体である「キイトルーダ」が
好調な製品です。

MSD社が扱っている領域の製品群を見てみますと、
ざっと以下の5領域に分かれています。

①プライマリー(糖尿病、高血圧、高脂血症、呼吸器、等)
②CNS(不眠症、抗うつ薬、等)
③感染症(抗生物質、抗ウイルス薬、等)
④がん(キイトルーダ)
⑤ワクチン

ということで、
プライマリー、CNS、感染症、がん、ワクチン等、
幅広い領域の製品を扱っています。

MSD社は元々、
循環器や感染症領域に強い製薬会社でした。

高血圧治療薬「ニューロタン」は、
日本で一番最初に発売されたARBですし、
「プレミネント」も日本で一番最初に発売された
高血圧の配合剤です。

ACE阻害薬の「レニベース」もMSD社の製品です。

 

「ニューロタン」、「レニベース」、「プレミネント」等、
MSD社と言えば、
かつては循環器のイメージが強かったですね。

どの製品も、
かなりの売上を誇った高血圧治療薬です。

 

最近では、糖尿病領域に力を入れており、
DPP4阻害薬である「ジャヌビア」は、
日本でも海外でも不動の地位を築いており、
他社のDPP4製剤もジャヌビアに追いつけ、
追い越せ、で活動していますが、
なかなか差が縮まりませんね。

現在もDPP4阻害薬の中で、
シェアNO.1の地位を築いています。

「ジャヌビア」は良い製品ですから、
圧倒的な売上を誇る意味もわかるのですが、
それとともに、DPP4製剤の中で
日本でも海外でも、「一番最初」に
発売したアドバンテージも大きかったです。

 

「ジャヌビア」と「janumet」(ジャヌビアとメトホルミンの合剤:日本未発売)
の2剤で、なんと全世界で、
約6,000億円以上(2016年度の段階で)もの売上を誇っています。

 

ただし、「ジャヌビア」は日本でも海外でも
すでにピークアウトを迎えており、
今後伸びる可能性はほぼなく、
下がっていく一方です・・・。

「ジャヌビア」の売上減少を見据え、
もうすぐ日本で、
「ジャヌビア」とSGLT2阻害薬「スーグラ」(アステラス社/MSD社)が
合剤が発売されますが、
「カナリア」に次ぐ2番手の発売でもあり、
どこまで売上を伸ばせるか、ですね。

合剤と言えば、
高脂血症治療薬である「ゼチーア」(エゼチミブ)と
リピトール(アトルバスタチン)の合剤も
MSD社からもうすぐ発売されますね。

 

MSD社の今後発売予定の製品としては、
プライリー領域からは、
上記に記載した、
糖尿病治療薬「ジャヌビア」と「スーグラ」の合剤、
高脂血症治療薬「ゼチーア」と「リピトール」の合剤が発売予定であり、
他には、抗生物質や抗真菌薬等の新薬、もしくは配合剤が
今後数年間で発売予定です。

CNS領域では、
不眠症治療薬「ベルソムラ」が絶好調ですね。

以前、「ベルソムラ」が、NHKの「ためしてガッテン」で紹介され、
メディアを騒がせていましたね。

糖尿病にも効果があるとかないとか・・・。

聞くところによると、
明確なエビデンスはないみたいですね。

「ベルソムラ」は順調に売上を伸ばしており、
不眠症治療薬の中では、ほぼ敵なしの状況です。

エーザイさんの「ルネスタ」が競合品ですが
処方量は「ベルソムラ」が圧倒的ですね。

CNS領域の開発中の製品には、
新規作用機序のアルツハイマー治療薬の
研究開発が進んでいましたが、
臨床試験で、軽度~中程度のAD患者さんで
有効性の欠如が発表され、軽度~中程度の臨床試験は中止となりました。

現在は、軽度の適応のみで臨床試験が進んでいる状況です。

厳しい状況ですね・・・。

AD治療薬は最も研究開発が難しいといわれている分野であり、
各社、ADには注力して研究開発を進めていますが、なかなか良い新薬が開発できない
状況です。

各社、軒並み失敗してますからね・・・。

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MSD社の開発中の新薬の中で、
注目すべきは、新規の血栓治療薬やワクチンではなく、
免疫チェックポイント阻害薬である
抗PD-1抗体の「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)の適応拡大ですね。

現在、「キイトルーダ」の適応としては、
「悪性黒色腫(メラノーマ)」と
「PD-L1陽性の再発非小細胞性肺がん」
の2つのみ適応を取得しています。

「メラノーマ」(皮膚がんの一種)の患者さんは国内ではかなり少なく、
現在「キイトルーダ」が使われているのは、
「肺がん」の患者さんがほとんどです。

と言っても、「キイトルーダ」が
すべての肺がん患者さんに使用できるわけではなく、
PD-L1が発現している(陽性の)非小細胞性肺がん患者さん
しか使用できない状況です。

「キイトルーダ」は
抗PD-1抗体であり、PD-L1が発現していない患者さんには
あまり効かない可能性がある、と報告されています。

さらに、キイトルーダはPD-L1陽性非小細胞性肺がん患者さんでの
「1stライン」での使用が認められている薬剤です。

臨床試験の結果(有意差のある良い成績が発表され)、
1stラインを取得することができ、ライバルの「オブジーボ」(小野薬品社)に大きな差をつけています。

試験デザインが違いますので、何とも言えませんが、
「オブジーボ」はこの適応では、1stラインが取れず、
現在、この適応では2ndラインの位置付けです。

 

臨床試験の結果、有意差のある良い結果が出ず惜しくも2ndの
位置づけとなりました。

これらの薬剤は、
今後、発表される臨床試験のエビデンス次第で、
大きく使用ラインが変わる可能性があり、
エビデンス次第の薬剤とも言えます。

もちろん、元々、それなりに良い薬剤なら、
有意差のある良い結果がでるはずなんですが、
抗がん剤系の薬剤は、臨床試験のバックグラウンドにも
結果が大きく左右されることもあり、
1つの臨床試験で良い結果が出れば、
それがすべて、というわけでは必ずしもありません。

ただし、1つ確実に言えるのは、
臨床試験次第で1stラインの治療薬がほぼ決まるため、
1stラインを前提で臨床試験を組む場合、
失敗はほぼできないということです。

さて、話を「キイトルーダ」に戻しますと、
現在、申請中の適応が「尿路上皮がん」です。

そして、現在適応拡大の臨床試験が進んでいるのが
フェーズⅢの段階では、
「乳がん」「大腸がん」「胃がん」「食道がん」「咽頭がん」「肝がん」「腎がん」の7つあり、
フェーズⅡの段階では、
「卵巣がん」「前立腺がん」等が控えています。

ますます今後に期待が持てますね。

ただし、現在のMSD社は「キイトルーダ」頼みであり、
他にも大型化が期待できる製品がほしいところです。

ということで、
MSD社の将来性について、
ざっと記載してみましたが、

まとめますと、

【MSD社の現状】

① プライマリー領域は、ブロックバスターの糖尿病治療薬「ジャヌビア」はすでにピークアウト。
「ジャヌビア」の他に、高脂血症、アレルギー、感染症等あるが、厳しい状況。最近発売した、C型肝炎治療薬に注目が集まるが・・・。

② CNS領域は、不眠症治療薬「ベルソムラ」が好調。他製品に特に目立った製品はない状況。

③ がん領域は、抗PD-1抗体の「キイトルーダ」が絶好調。しかし、キイトルーダしか存在せず・・・。

 

【MSD社の今後】

① プライマリー領域は、今後、配合剤の上市が多い(糖尿病、高脂血症、抗生物質等の配合剤)。他に新製品がなく、苦しい状況。

② CNS領域は、「ベルソムラ」は今後も順調と予想されるが、CNS領域は他に開発候補品がない状況。期待の新規アルツハイマー治療薬の開発は一部臨床試験が中止となり厳しい状況。

③がん領域に関しては、「キイトルーダ」の適応拡大があり今後も順調な様子。MSD社の社運は「キイトルーダ」に賭かっているかもしれない。今後も適応拡大で処方量急増だが、競合品の発売(PD-L1等)も控えており、エビデンス次第。

 

 

ということで、
MSD社のプライマリー領域とCNS領域の製品は、今後厳しく、
上市予定品も少ないため、がん領域が今後のMSD社の主軸となり、
MSD社の社運は「キイトルーダ」次第となりそうです。

 

今年の7月末、オンコロジー領域において、世界的に
MSD社とアストラゼネカ社が業務提携する発表が
両社からありました。

アストラゼネカ社が開発中の新規作用機序の抗がん剤である
「オラパリブ(製品名:LYNPARZA)」は、世界初の経口ポリメラーゼ(PARP)阻害薬です。

現在、「BRCA遺伝子変異陽性卵巣がん」の適応で臨床試験が進んでいます。

MSD社とAZ社は、
この「オラパリブ」の単独または併用(MSD社:キイトルーダやAZ社:デュルバルマブとの併用)
での開発を、共同で進めていく提携をしました。

また、AZ社の開発中の甲状腺がん等の治療薬であり、
こちらもオンコロジー製品の「セルメチニブ」に関しても、
共同開発の提携を結び、キイトルーダ(MSD社)やデュルバルマブ(AZ社)等の
抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体との併用でも開発を進めていくとのことです。

これらの報道からも、
MSD社のオンコロジー領域に注力する本気度が伺えます。

というよりも、MSD社が生き残るべく道は、もはや
キイトルーダを普及させ、AZ社等との元々オンコロジー領域に強い
製薬企業と提携を結び、オンコロジーで利益を稼ぐしか生き残る道はなさそうです・・・。

MSD社の日本での今後の上市品や開発品を見ると、
かつてのように、循環器領域や糖尿病領域で他社を圧倒した
ブロックバスターになり得るような製品ラインナップはすでになく、
「キイトルーダ」の適応拡大がほとんどです。

「キイトルーダ」がとても良い製品であることはわかりますが、
MSD社はもともと抗がん剤の開発研究に注力していた
製薬会社でもないため、オンコロジー製品に関しても今後も
キイトルーダくらいしかなく、MSD社はすでにキイトルーダ頼みの会社になっています。

「キイトルーダ」が傾くと、
MSD社もほぼ確実に傾くでしょう。

それほど、MSD社にはブロックバスター候補がない状況です。

それもあって、アストラゼネカ社とオンコロジー領域における
業務提携をしたのでしょう。

MSD社は、オンコロジー領域に注力するといっても
オンコロジー製品は「キイトルーダ」しかなく、
AZ社等と企業提携を結びながら、オンコロジー領域の販路を確保し、
何とか利益を確保するしか、生き延びる道はなさそうです。

MSD社ほどの大手外資系製薬会社でも開発パイプラインの枯渇は、
危機的な死活問題となっています。

MSD社は、「キトルーダ」を軸に、どこまで成長できるか、
今後に期待です。

 

以上、MSD社の将来性について、
現状を踏まえ、完全なる私見で記載してみました。

上記記載は私の独断と偏見に基づいた意見ですので、
過信せずに、
ご参考までお願い致します。

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コメント

    • 某内資系MR
    • 2017年 9月 18日

    確かにMSDさんは40代以上のベテランMRも多い印象を受けます。
    仰る通り、外資の割にはあまりドラスティックな話は今まで聞たことがなかったので、今回の早期退職はついに来たか~という感じです。
    ただ、合併会社なのもありますがMSDさんは売上規模の割にはMR数が多かったので仕方ないなとも思います。3000億だと、田辺三菱さんと同程度ですもんね。
    MSDさんのようなグローバルトップメーカーですら、パイプラインの枯渇に悩まされている状況ですので、いかに新薬開発のハードルが上がっているかが見て取れますね。
    まあMSDさんなら他所からパイプラインを買収するなり他社から導入するなり、何とか出来るでしょうけど、一人の社員として定年まで生き残ることは、もはや夢物語のような話だと個人的に感じています…。

  1. 某内資系MRさん
    いつもコメント有難うございます。
    おっしゃる通りMSD社ほどの大手製薬会社なら、開発パイプラインの買収等で何とか利益を確保することができると思いますが、MSD社ほどの規模の製薬会社ですら、開発パイプラインが不足していおり、ブロックバスターとなる製品の開発が、滞っている状況です。
    もちろんMSD社に限らず、どの製薬会社も厳しい現状に直面していますが・・・。
    MR職として、果たして定年まで勤め上げることができるのか・・・。
    製薬業界の課題ですね。
    ヒロ

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