MRの仕事について

MRの仕事といっても、担当領域や担当製品によって、活動内容が大きく異なる、というお話

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「MRの仕事」といっても、
実は、担当領域や担当製品によって、かなり異なります。

 

MRの仕事は一括りにはできず、
様々な活動スタイルがあります。

 

本日は、そのお話をさせて頂きます。

 

まず、大きく分けて、MRは2つに分かれます。

①先発品MR
②後発品MR

の2つです。

 

一般的には、
特許の切れていない医薬品(主に新薬だが長期収載品も)を扱うのが、先発品MRであり、
ジェネリック医薬品(先発品と成分は同じで価格が安い)を扱うのが、後発品MRです。

まず、先発品MRと後発品MRは、
主な訪問顧客が異なります。

先発品MRは「医師、薬剤師」に面会しますが、
後発品MRは「薬剤師」への面会が中心になります。

もちろん後発品MRさんの中には、
ドクター(医師)にも熱心に面会されている方もいますが、
ジェネリック医薬品という製品特性上、どうしても病院薬剤部や
薬局訪問が中心になります。

というのも、
後発品MRの仕事内容として、
先発品と後発品の「製剤的な」違いを中心に、訴求します。

具体的には、
先発品と後発品の製剤の細かな違い(添加物、剤型、味、見た目、適応症、同等性等)や
価格を中心に訴求します。

したがって、ジェネリック医薬品を扱う、後発品MRは、
薬剤の製剤的観点からのアプローチや価格訴求が中心となるため、
仕事内容が、薬剤師さんへの面会が主となる場合が多いです。

これだけでも、
同じMRであっても、
先発品MRと後発品MRの活動内容は大きく異なります。

先発品MRはドクター、薬剤師が訪問の中心となりますが、
後発品MRは、薬剤師が訪問の中心となるため、
それぞれ訴求(紹介)する内容も異なる、ということです。

 

また、先発品MRと後発品MRは、
訪問「顧客」や「訴求」内容だけでなく、
訪問「軒数」も異なることが多いです。

後発品MRは、薬局や病院の薬剤部訪問が中心となることから、
1日にかなりの数の薬局を訪問することが多いです。

後発品MRは、先発品MRよりも、
通常、1日の訪問軒数が圧倒的に多いのです。

さらに、担当製品の数も、圧倒的に、
後発品MRの方が多いです。

ジェネリックメーカーにもよりますが、
数十~数百製剤担当することもあり、
担当品目数も、先発品MRと桁違いです。

そのため、処方獲得方法も当然、
異なって来ます。

 

ということで、
先発品MRと後発品MRの違いを以下にまとめてみます。

 

【先発品MRと後発品MRの違い】

①主な訪問顧客が異なる。(後発品MRさんは、薬剤師さんへの面会が中心)
②ディティール内容が異なる。(後発品MRさんは、製剤特性や価格訴求が中心)
③1日の訪問軒数が異なる。(後発品MRさんは、多くの薬局を訪問し、担当軒数がかなり多い。1日に数十件もありえる。)
④担当品目数が異なる。(後発品MRさんは、数十~数百品目の製品を扱う。)

 

後発品MRとしての仕事内容は、
「薬をセールスしている」感覚に近いです。

 

 

では、
先発品MRは、
MRの仕事内容がどの領域や製品でも、ほとんど同じかと言われれば、
これも担当製品や担当領域によって、大きく異なります。

 

先発品MRの製品(担当)領域を見ますと、
大きくわけて、下記のような領域があります。

 

①プライマリー(内科系が多いですが、競合が激しい領域もプライマリーとされる場合もあります)
②スペシャリティ(CNS、オーファン、免疫、皮膚等含む)
③オンコロジー(がん)

 

大きく分けて、上記3つの領域に分けられますが、
免疫領域や皮膚科領域、眼科領域等はスペシャリティ領域だったり、
プライマリー領域だったり、それぞれ、
免疫領域や皮膚領域といった独立した領域わけされることもあり、
様々です。

したがって、
細かくわけますと、

①プライマリー(主に内科系等、競合が激しい領域)
②CNS(中枢神経系)
③オンコロジー(がん)
⑤イムノロジー(自己免疫疾患)
⑥オーファン(希少疾患)
⑥皮膚
⑦眼科

等にわけられます。

他にも、疼痛領域や感染症領域等、他にもたくさんの領域はありますが、
細かく上げるとキリがありませんので、
ここでは便宜上、このような分類わけさせて頂きます。

領域別ではこのようにわけられますが、
どのように活動内容が異なるのでしょうか。

まず、上記で領域別にわけて記載していますが、
実は、領域ごとに仕事内容が異なる、というよりも、
もちろん領域別にも仕事内容は異なるのですが、
対象疾患の「患者数ごと」に仕事内容は異なります。

 

まず、国内での患者数が、
数十人~数千人の疾患に関しては、
ドクターに対象疾患の自社医薬品の紹介(ディティール)をする、という通常のMR活動よりも、
多くの場合、稀な疾患のため、その疾患の啓蒙、検査、診断、といった、処方前の
段階である、患者選定といった、疾患そのものの啓蒙活動(検査・診断含む)等が中心となる場合が多いです。

その理由ですが、
国内でかなり限られた患者数の疾患を対象に、自社製品の処方活動をするにあたり、
まずは対象患者さんを見つけることから始まります。

対象の患者さんがいなければ、
処方してもらうことは不可能なため、患者さんを見つける(≒啓蒙活動)、もしくは、正確な検査や診断方法を確立するための
活動が中心になるケースが多いです。

このような活動は、限定された患者数の、
免疫疾患でもありえますし、オンコロジー領域でも、当然オーファン領域でも、
または中枢神経領域でもありえる活動です。

したがって、国内での患者数がある程度、限定的な疾患に関しては、
領域に関わらず、疾患の啓蒙、正確な検査、正確な診断をして頂くための疾患普及活動が
中心とケースがほどんどです。その後、自社薬剤処方活動という流れが多いです。

場合によっては、その限られた患者さんが、専門病院や大病院ではなく、
開業医等の診療所にもいるケースがあるため、疾患によっては、「病診連携(病院と開業医の連携)」や、
専門病院や大病院と中小病院の連携を強化する、「病病連携」活動が中心となる場合もあります。

これも薬剤によりけり、ですが、
そのような連携活動を中心にされているMRさんも実際にいます。

ということで、
対象疾患の患者数ごとに、MRの仕事内容は異なるのです。

一方、
患者数の多い疾患は、すでに疾患そのものがメジャー化しており、
疾患の啓蒙や検査、診断の普及活動はあまり必要ない場合が多いです。

そのため、薬剤的アプローチが中心になるケースがほとんどです。
処方前の疾患啓蒙等はすでによく知られており、あまり啓蒙活動はしないケースも多いです。

しかし、
限定された患者数しかいない疾患に関しては、
先生方としても、疾患を診るケースは決して多くなく(一部の病院を除く)、
また、疾患そのものも、マイナーなため、どこにその稀な疾患の患者さんがいるか、
わかりにくいケースも多いです。

そのため、
稀な疾患に関しては、
疾患の啓蒙活動や疾患の検査・診断活動の普及をすることで、
対象疾患を選定し、その後、自社医薬品を使っていただための活動をします。

この稀な疾患には、がん、中枢神経、免疫、皮膚、眼科・・・etc、
といった様々な領域の疾患が含まれます。

したがって、繰り返しになりますが
領域ごとにMRの活動内容が異なる、というよりも
対象疾患の患者数ごとに活動内容が異なる、と理解した方が、
正確かもしれません。

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【患者数ごとにMR活動(アプローチ)は異なる】

①患者数 大 → 啓蒙、検査、診断より(すでに普及しているため)も、薬剤の訴求中心。
②患者数 小 → 啓蒙、検査、診断の普及活動中心。薬剤はその後。

 

 

さて、
話は変わりまして、
MRの仕事内容は、「病院」担当か「開業医」担当か、でも、
MR仕事内容は大きく異なります。

開業医と病院活動の主な違いは、
まず卸活動が必要かどうか、です。

もちろん両方、卸活動は必要なのですが、
より必要なのは、断然、開業医担当です。

その理由ですが、
開業医はほぼ毎日のように、卸(MS)さんが
開業医を訪問しています。

そのため、開業医とMSさんの関係は強固な場合が多く、
自社製品の採用や増量に関して、MSさんの協力は欠かせません。

また、自社薬剤が採用された際、納入して頂くのは、
MSさんに依頼しないと、納入ができないため、
MSさんとのパートナーシップは欠かせません。

一方、病院でも卸さんの協力は必要なケースはありますが、
どちらかというと、MR自身の力で採用を進めケースが多いです。

そのため、病院での採用や増量に関しては、
MR自身の影響力が大きく、MSさんの努力ではどうにもできない
ことが多いです。

したがって、
卸活動は、開業医がメインとなり、
開業医を担当する場合は卸活動が欠かせません。

さらに、開業医担当のMRさんは、
会社にもよりますが、月末や期末に「詰め」という
前倒しで自社製品を納入してもらう仕事をするケースも結構あります。

これが結構というか、かなり大変なんですよね・・・。

私が開業医を担当していたころ、
毎月、月の最終週は、月曜日から、「MR」から「MS」になって(たとえです)、
詰めまくってましたね(笑)

かなり大変でしたね・・・。

毎月第4週頃になると、かなり憂鬱でした(笑)

月末と期末は本当に
猫の手も借りたいほど、忙しかったです。

実際、昼食をとる時間がほとんどなかったですし・・・。

開業医担当は本当に大変なんですよ。

開業医を担当したことがない人は一度、
経験してみてください(笑)

二度経験して、とは言いません、
一度でいいです(笑)

 

さて、卸活動ですが、
何をするかと言えば、卸さんと情報交換や
協力依頼をするため、毎日のように、朝や夕方もしくは夜、
卸訪問をします。

卸さんへ日々のMR活動の、
報告、連絡、相談業務をします。

ex)
本日、Aクリニックに行き、〇〇先生と、自社製剤Bについての、
△な話をして来ました。先生の評価は××でした。次回、対策として○○しようと考えています。
ご協力よろしくお願い致します!

というような会話を、卸さんとするわけです。

 

開業医担当にとって、
MSさんは欠かせないパートナーです。

 

 

ということで、
卸活動をするか、しないか、でも
MRの活動は、大きく異なるのです。

もちろん開業医担当だけでなく、
病院担当も大変さは、当然あります。

新規採用時の薬審活動(宣伝許可取得や薬審で上げてもらうこと等)は大変ですし、
今では多くの病院で訪問規制がありますので、
MR活動が難しくなってきており、なかなか面会しづらい先生も多いです。

一概に、どちらが大変である、
なんていうつもりはありませんが、開業医担当のつらさは、
一度は経験してほしいとは思います・・・。

 

以上、
開業医担当と病院担当の違いについて、
簡単にですが、ご紹介させて頂きました。

 

次に、
別のMRの仕事が異なるケースについてご紹介します。

MRの仕事というのは、
同じ会社であっても、営業所ごとに、
かなり異なるケースが多いです。

 

MRを何年か続けている方なら、聞いたことがあるかもしれませんが、
新しく異動(転勤)してきたMRさんが「同じ会社なのに、別の会社みたいだ。」
と言っているのを、何度か聞いたことがありませんか?

 

そうなんです、それだけ営業所ごとに、雰囲気や方針が異なるケースが多々あるのです。

同じ会社であっても、
営業所ごとに方針や活動スタイル、重要視すべきこと、
が異なるケースは多々あります。

もちろん、本社からは同じ指示が来ていますが、
それとは別の方針を営業所や支店ごとに立て、
独自で実施しているケースも多いです。

そのため、営業所や支店ごとに、
雰囲気や活動スタイルが異なるケースがあるのです。

もちろん、営業所が変われば
人もかわりますので、環境としても大きく変わるケースがあります。

 

ということで、
今回の、「MRの仕事~」という、ブログ記事で私が一番伝えたかったことは、
MRには様々な活動スタイルがあり、一概にMR、といっても多種多様であり、
もし今のMRの仕事がつらいと思うのなら、他の業界に転職する、という手段もありますが、
会社や領域、担当製品、担当施設、営業所(担当エリア)等が変わると、
MRという仕事が、今までと違う角度で見ることができる可能性が高く、
再度、MRという仕事の価値を感じることができるかもしれない、ということです。

MRという仕事が、どの仕事よりも素晴らしい、なんて言うつもりはありませんが、
私から伝えたいことは、MRの仕事にも、いいところもありますよ、ということが言いたいのです。

同じ環境に長くいると、それを感じにくい場合が多々あり、
会社や担当製品、営業所が異なると、また違った視点で、MRという仕事の価値を、
感じ取ることができるかもしれないからです。

今まで、私がMRを続けてきて、
MRなんてもう嫌だ、といって、異業種に転職してしまう方を何人か見て来ました。

そのMRさん方は、当時の環境下でつらい目にあわされ、
MRを恨んで辞めていきましたが、その方々に共通することは、
ある1つの環境下でしか、ほとんど経験していない、ということです。

すなわち、
1つの会社や1つの営業所、同じ製品のみを担当した経験しか
ほとんどなく、MRに対して、一方的な見方しかできなくなってるケースが多かったのです。

別の製品、別の会社、別の営業所等を経験してからでも、
MRを辞めるのは良かったのではないか、と私は考えています。

MRの仕事は本当に多種多様であり、
上記に上げたのは、ほんの一部に過ぎません。

 

上記記載内容を改めて整理します。

【MRの仕事】
①先発品MRか後発品MRかで、MRの仕事は、大きく異なる。
②患者数の多い疾患か、少ない疾患かで、MRの仕事は、大きく異なる。
③開業医担当か、病院担当かで、MRの仕事は、大きく異なる。
④同じ会社であっても、営業所や担当エリア次第で、MRの仕事は、大きく異なる。

 

ということで、
最後に、繰り返しになりますが
私が今回の記事で伝えたかったことは、
MRという仕事は、会社や領域、支店や営業所ごとで、
仕事内容が大きく異なります、ということです。

今の環境が劣悪で、早急に変わる必要があるのなら、
MRという職業を辞め、異業種へ転職する、という選択肢もありますが、
それよりも、まず同じMRとして働きつつ、環境を変えてみることも
場合によっては有効であり、MRの価値を再確認できるかもしれません。

MRという仕事も、良いところがあります。

現環境下でMRの価値を感じにくのなら、
今とは異なる環境で、MRの価値を感じることも、できるはずなのです。

それをこの記事で、
少しでも、感じとって頂けたらなら、
幸いです。

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コメント

    • 某内資系MR
    • 2018年 8月 30日

    正直、先発MRと後発MRをMRと言って同じ括りにしたらアカンよなと思いますね。
    決して後発MRを悪く言うわけではないですが、それほど仕事内容が違いすぎます(自身で経験があるから余計にそう思う)。

    ただ、先発企業でも上から下までピンキリですし、プライマリーと専門領域、GPとHP担当でも仕事の仕方は全然変わってきます。

    プライマリーやGPでの仕事も大切な経験だとは思うのですが、今の世は専門領域で病院経験アリのMRでないと、なかなか価値を見せつけられないのが現実ですね。

    • 某内資系MRさん

      コメント有難うございます!
      MRといっても、本当に担当製品や担当施設等で仕事内容は大きくことなりますよね。
      MRという仕事は、本当に様々である、と日々感じています。

      確かに、このご時世、専門領域病院担当MRの価値が高まっていますね。
      ただし、経験の有無というのは、実はそこまで重要ではないと考えられますが、
      しかしながら、MR市場においては、経験が最重視されている現状があり、
      経験者こそが希少価値が高まりつつある現状に対して、私は疑問を抱いています。

      GPのみしか担当したことがないMRさんであっても、物凄く優秀なMRさんもたくさんおり、病院担当者が必ずしも優秀なわけではありません。しかし、現状としては病院担当経験者が重宝されるという、おかしな状況がもう何年も、そしてこれからも続くでしょう。

      企業は本当にMRの価値をわかっているのか・・・、と思いますね。

      MRへの価値は、確かに、病院担当者や専門領域担当の方が、MRとしても価値を見出しやすいかもしれません。
      MRとしてより、医療従事者に専門領域の情報等が必要とされることもあり、比較的顧客からの信頼も得やすく、
      その結果、MRの冥利に尽きるところもあるかもしれません。

      ヒロ

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